専門家からの助言e

	
星空案内人のネタのデータベース、とても良いですね。

1. サイトのシステム
2. 参加者の動機づけ等の設計(コミュニティマネジメント)
3. こういったWebサービスの作り方
に分けてコメントします。


1. サイトのシステム
このような、投稿型のサービスは、
CGM(Consumer Generated Media)とか
UGC(User Generated Contents)等と言われている、
2000年代前半に固まった古くからある仕組みです。

それゆえ、システムとしては作り方の定石が存在する類のもので、
部品となるオープンソースライブラリも豊富です。
優秀な人であれば1週末あればベースはできる程度のものと思います。
「何ヶ月もかかる」ようであれば、盛り込もうとしている機能が多すぎるか、
ライトパーソンではないと思われます。

2. コミュニティマネジメント
むしろこのようなUGCサービスで難しいのは、
a. 参加者にいかに自分のネタを投稿してもらうか、
b. 玉石混交のネタの中から質の高いネタをどのように見つけやすくするか、
c. 投稿者と閲覧者のフィードバックループをどう回すかなどの、
コミュニティ運営のほうです。

ここでの問題は、非常に些細だと思える点、
例えば、トップページはネタを新着順で表示するのか、
閲覧数順で表示するのか、
ということだけで、ユーザーの行動が変わり、
結果としてサービスの中味が全く変わってしまう点です

(UGCではユーザーの行動=サイトのコンテンツ、なので)。
レシピ(クックパッド)と星空案内のネタは、似ているところもありますが、
違うところもあるので、サイトの仕組みを同じにすれば同じようなユーザー
行動が引き出せるか、というのは疑問です。
クックパッドは、ユーザーインタビューをとても積極的にすることで有名で、
ユーザー観察の結果として様々な試行錯誤を経て現在のサービスに至っている
と思います。学べることがあるとすると、そのような運用のやり方かなと思い
ました。
どのくらい細かくチューニングしてるのかというのは、例えばクックパッドの
エンジニアのブログが参考になります
https://note.com/kenta_murayama/n/ncffcdd184a85#2UU18

なおクックパッドに聞かなくてもわかる一般論としては、UGCでは、サイトの
利用者のうち何%が投稿者(コンテンツを生み出す側)になるかという点が
最初のハードルで、クックパッドのような敷居が低い(利用者のほぼ全員が
料理をするでしょうから、潜在的には全員が投稿できるはずです)サービス
でも、利用者の1%が投稿したら上出来とされています。いかにこの投稿率を
増やすか(かつ、コンテンツの質を価値あるレベルに維持するか)、という
のが初期フェーズで重要です。

星空案内人では、元々がつながりのある集団なので、これを活用するのが
手堅いアプローチだと思います。

3. Webサービスづくりのプロセス
ベースは1週末でできる。ユーザー観察から試行錯誤してベターにしていく。
というこれまでの議論から導き出される通り、最初から設計しきらずに、
Always betaの精神で徐々に改善していくのが最善のプロセスとなります。
基本的には、「何をつくるか」より「どのように作り続けるか」の体制や
仕組み面のほうが大事になります。

そのためには、
・サービスの仕様を決めるプロダクトオーナーを明確にする
・プロダクト開発を5名以内のタイトなチームで、細く長く回す
 (フルタイムでコミットできないとしても、これ以上人数を増やして
 もいいことはないです。デザイナー1名、エンジニア2−3名、
 進行管理1名など)
・ユーザーインタビューやユーザー観察を頻繁に行う
・必ず2週に1回アップデートする(初期は週1回でもいい)
がほとんどマストと言って良いような前提です。世の中のほとんどの
Webサービスはこのように作られています(専門的には、「スクラム開発」
と呼ばれています)

このあたりのやり方がうまくNPOでできそうであれば、状況に合わせて適切な
人に話を聞くアレンジを手伝えると思います。